「政治とカネ」や「普天間基地」の問題で鳩山首相の指導力が問われ、支持率が急降下した時、鳩山政権について「鶴は千年、亀は万年、鳩は一年」と揶揄する声が各方面から上がったが、その一年ももたずに鳩山政権が崩壊した。安倍・福田・麻生と三代続く自民党の短命政権を批判し続けてきた民主党が、結局、同じ轍を踏んだことに対して、政治家用語を使うなら「慙愧に耐えない」と言うべきか。「笑止千万」と言うべきか。
孔子に子貢という若い弟子がいた。ある日、その子貢が孔子に訊ねた。
「政治を考える上で一番大事なことは何でしょうか?」
孔子はしばらく考えていたが、言葉を選ぶようにゆっくりと答えた。
「政治には三つの大事なことがある。ひとつは『兵』すなわち国防ということ。もうひとつは『食』すなわち国民にひもじい思いをさせないこと。そして、もうひとつは『信』すなわち国民に政治と政治家を信用させることだ。」
子貢はさらに続けて訊ねた。
「その三つのうち、一つを捨てるとすれば何を捨てましょうか?」
孔子は即座に答えた。
「兵を捨てよ。」
子貢はまた訊ねた。
「残る二つのうち、さらに一つを捨てるとすれば何を捨てましょうか?」
孔子はまたすぐに答えた。
「食を捨てよ。」
そして孔子は言葉を続けた。
「備えがなくて外国の侮りをうけるようなことがあっても、国民に食べさせるものがなくてひもじい思いをさせるようなことがあっても、政治はやってゆけないことはない。しかし、国民が政治と政治家を信用しなくなったら国は滅びる。よく覚えておくがいい『信』ということを。信が失われたら、もうその社会は崩壊する他ないということを。」
日本は今、目に見えない形で崩壊の危機に瀕している。