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これから発生するかもしれない大地震などの自然災害に備え、何を準備し、心得ておくと良いかを、防災士ミスター・タナカがわかりやすく発信


by espoir-oq
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東京大空襲

 3月16日、17日の二夜連続で、日本テレビの開局55年記念ドラマ「東京大空襲」が放送された。これまで広島・長崎の原爆をテーマにした映画やテレビドラマは数多く制作されてきたが、東京大空襲をテーマにした作品はあまり目にした記憶がない。今回のドラマでは当時の惨劇を知る人々からの証言を元に、最新のCGなどを駆使した迫力ある映像がリアルで、当時の惨状と否応なしにそれに巻き込まれた人々の悲劇は、ドラマとは言いながら胸に迫るものがあった。
 第二次世界大戦中、東京は1944年11月14日から終戦の1945年8月15日までに合計106回の空襲を受けている。中でももっとも被害が大きかったのが、1945年3月10日に現在の江東・墨田・台東などの下町を中心に行われた空襲で、東京大空襲という場合にはこれを指していうことが多い。死者・行方不明者は10万人以上、火災により焼失した家屋は100万軒以上に上ったと言われている。
 アメリカ軍がこの地域を徹底的に爆撃した背景には、この地域の中小工場が日本の軍需産業を支えているということもあったが、民間人を巻き込んだ無差別爆撃であったことは事実である。アメリカ軍は木造建築が多い日本の家屋を研究し、類焼力が強いナパーム焼夷弾を開発した。さらに関東大震災の時の火災を参考に、もっとも効率的な爆撃目標を設定したとも言われている。そこにあるのは日本の首都を「殲滅」する計画であり、「生命の尊重」などという概念が入り込む隙間はまったくない。殺すか、殺されるか。どのような大義名分があったにせよ、それが戦争という行為のすべてである。
 有史以来、人類は様々な災害に見舞われてきた。しかし、いかなる自然災害よりももっとも多くの人命を奪ってきたのは「戦災」という災害である。そしてそれは今もなお、この地球上で続けられているのである。以前ここでも述べたが、人類は未だに地震や台風などの自然災害を防ぐ手立てを知らない。人間が唯一、自らの力で防ぐことができる災害は戦災だけである。そのことを我々は今一度、心に強く刻み付けるべきではないだろうか。
by espoir-oq | 2008-03-20 00:30 | 防災雑感