前回も触れた豚インフルエンザだが、その流行は留まるところを知らず、感染が確認された国は24カ国に上り、感染者数も2000人を越えた。5日にはアメリカ・テキサス州で30代の女性が死亡したが、豚インフルエンザによるアメリカ人の死者はこれが初めてである。6日にはメキシコでも新たな死亡が確認され、豚インフルエンザによる死者の数は世界中で44人になった。ポーランドやスウェーデンなど、新たな国でも感染が確認され、世界的な流行は避けられない状況になってきている。
そうした中で気になるニュースがあった。豚インフルエンザへの感染が広がる中で、東京都内の一般病院で発熱の症状があるだけで診察を拒否したり、出勤の際に非感染の診断書の提出を求めたりするといった、過剰な反応ともいえるケースが続出していることが、東京都の調査でわかったという。調べによると、2日午前9時から5日正午までに診察拒否は計92件、診断書提出要求も複数あったという。医師法では正当な理由のない診察拒否は禁じられており、東京都福祉保険局は「診察拒否が増えれば、患者が症状などを正しく伝えない風潮が広まる可能性もある」と懸念している。
世界的に見ても、豚インフルエンザの感染者が見つかった香港のホテルでは、宿泊客を5日間以上拘束して検査を実施して、宿泊客からは強い不満の声が漏れたり、空港で長時間足止めされた渡航者からクレームが出るケースも見られた。
一番の原因は、豚インフルエンザの発生の原因、感染経路、さらに毒性などがはっきりしていない点にあるが、そうした不安が引き金になった風評被害や二次災害が広がらないようにするためにも、迅速かつ正確な情報公開と、冷静な対応を望みたいものである。
世界に感染が拡大していく様子を見ながら、改めて考えたことがある。それはこういう状況に陥った時、「我々はこの地球以外に逃げ場所がない」ということである。普段はそれほど深刻に考えることはないが、例えば新型ウイルスが世界中に蔓延したとしても、我々にはこの地球を捨ててどこか他に移住するという選択肢はない。
それはエネルギー問題や食糧問題、環境問題など、地球規模で考えなければならないすべての課題に共通する結論である。だからこそ、我々は同じ「宇宙船地球号」のクルーとして、個々の利害を乗り越えて協力し合わなければならないのである。豚インフルエンザの流行は早急に解決しなければならない課題だが、その対応で世界各国が協力し合えれば、それは「災い転じて福」になるかもしれない。
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